子どもたちが保育園で過ごす時間は、24 時間のうちの 1/3~1/2 にも及びます。長時間ということだけでなく、一日で最も活動的な時間帯を保育園で過ごしていることになります。
保育園が単に教育の場であるだけでなく「養護と教育を一体的に」おこなう場であるのは、長時間を過ごすためにケアの要素が必要であり、教育活動が情緒的な安定のうえに成り立ち、情緒的な発達と深く関係して効果がでるからです。
そして、保育園が日課や生活経験を重視し、豊かな遊びを経験する機会を多様に作るのは、生活そのものに教育的な価値が多く含まれ、遊びそのものが教育であるからです。
ここでいう教育的な価値とは、読み書きや引き算足し算だけでなく、自律的な生活に必要なスキルや社会化に必要なスキルも指します。
自律的な生活に必要なスキルとしては、自分の身の回りのことを自分でおこなう技術、その意欲、より正確に効率的に行うための知恵などです。
社会化に必要なスキルは、ルールの理解、行動規範にあった行動様式の習得、コミュニケーションの技術などです。
そして、最も大切なのが自身の肯定的な実感です。肯定的な実感については「子どもに経験してほしいこと」でお伝えしました。
信頼できる大人と一緒に生活しながら、五感を使って遊びながら、大人に受け止めてもらいながら、子どもたちは人として生きていくために必要なことを獲得しているのです。
つまり、大人は子どもにこの育ちを保障しなくてはならないのです。
たちばな保育園は子どもたちの育ちを保障します。人としての基礎を培う大切な時期だからこそ、子どもの生活や遊びの質を追求し、一場面一場面を丁寧に過ごす必要があります。
行事の再検討をしたのもこのような理由からです。
行事を含めた保育内容について、たちばな保育園では、既存のものや他の保育現場で評価されているものを検討し、適切と判断できるのもは取り入れ、あるいは適切な形にアレンジして取り入れ、そうでないものは子どもに提供することはできません。
子どもに提供するのもすべてに、そして実践するプロセスに、理論的な裏付けがあり、目的が達成できているか否かの評価をおこないます。
芸術に触れること、文化的な生活をすること、日常的な生活経験を広げていくこと、社会的な問題を知り考えること、仲間と共有する喜びを知ること、知ることの楽しさを味わうことなどのさまざまな経験が生活と遊びから得られ、信頼できる大人の寄り添いのなかで展開されるように、保育内容を検討していきます。
ごっこ遊び、絵本、わらべ歌、制作などの日常的なものに加え、泥んこ遊び、調理体験、買い物、自然の中での外遊び、散歩以外のお出かけなど、これまで日常的でなかったものについても内容によって日常的に展開されるよう機会を作り、子どもの成長・発達が十分に期待できる実践方法の検討にも力を入れていきます。